ご質問:ADHDの息子の育て方

ご質問を頂きました。
ADHDの息子の育て方についてです。
掲載をご了承いただいたので掲載します。


岡崎 よしあき 様


突然ご連絡差し上げる不躾をお許しください。

岡崎様の「ADHDによるADHDのためのアイデアノート」を拝読させて
いただきました。

私にはADHDの息子がいます。
息子が中学生でADHDと診断されて以来、私なりに本やインターネット、
発達障害者センター、心療内科の先生から情報や指導をいただいて
理解しようと努めてまいりましたが、どうしても息子の行動に戸惑うことが
多く、岡崎様にアドバイスをいただけたらと思い、ご連絡致しました。

これまでいろいろな情報に触れてきましたが、専門家よりもADHD当事者の
方が発信された内容の方がより具体的、現実的だと私は感じています。

息子は現在高校生です。
中学生の時ややスパルタ式の塾に通い、高校に入学しました。
内申点不足で公立は受験できませんでした。内申点を稼ぐ、評価を
もらうといった発想が彼には全くありません)
高校では課題をほとんどやらず、授業中は居眠りをし、遅刻も多く、
なんとかぎりぎりで進級しました。
振り返ってみますと、小学生の頃から板書をノートに書き写したり、
自分で調べ学習をしたり、勉強したことをノートにまとめたりすることは
苦手でできていませんでした。

最近は「身体がきつくて何もやる気が起きない。なんでこんなにきついのに
登校しなければならないのか。行く必要を感じない」と言います。
実際、夜なかなか寝付けずイライラしたりすることも多く、眠れたら眠れたで
今度は10時間以上寝て起きることができません。

睡眠に異常があるのではと長期の休みに病院に検査入院したものの
結果は正常で、「おそらく学校に行きたくないのです」と医師に言われました。

親としては本当は大学にも行ってほしいのですが、今はせめて高校だけは
卒業してほしいと願っています。

その旨息子に話をしていると、息子は理解しているし自分もそのつもりだと
言います。
ただ実際の彼の行動は正反対で、在宅していればパソコンばかり。
一緒に行動する友人はすでに学校を辞めた子やその予備軍のような子
で(うちもそうでうけど)、一緒に煙草を吸っていたりもするようです。

情けないのですが、何だか親として無力で、息子をちゃんと導いていく自信が
無くなってきました。

岡崎様が高校生位の頃、親御さんはどのように接していらっしゃたのでしょうか。
高校を中退されたとのことですが、失礼ですが、きっとご家族は当時不安に
思われたと存じます。

岡崎様のお心に届いた関わり方などございましたら、是非参考にさせていただきたい
のです。

お忙しくお過ごしのことと存じますが、アドバイスいただけましたら幸甚です。


S.K.

*****

以下のようにお返事しました

*****


こんばんは、岡崎です。
メールありがとうございます。

息子様がADHDであるとのことで、メール読ませて頂きました。

私の事例がはたして参考になるか疑問ではありますが、
お知らせさせて頂きます。

まず、私はご存じのとおり、高校2年生で中退しております。
その後、大検を受けて、通信制の大学で教員免許を取得し
3年間ほど、小学校教師をしました。

現在は退職して、他の事業を営んでおりますが、
とりあえず、高校は耐え切れずにリタイアしております。

親がどのように接していたかと言うと、
当時、親は別居していて、父は仕事で忙しく、
母も仕事で忙しく、家には妹と私の二人でいることが多かったです。

母は、私に妹のことや、父のことを相談してきたり、愚痴をこぼしたりなどで
接してきたというより、精神的に依存されていた印象があります。

私は当時、母が嫌いでした。
そして、自分が母に世話になるのが嫌でした。
なので、家出をして、自分で生活をするという手段を選びました。
短期間の家出ではなく、それ以降、生活の場としての家に帰ってはいません。

当然、家を出たら、自活しなくてはならず、お金を稼がねばなりません。
その日、食べる食費すらなかったので、レストランでバイトして、
とりあえず、その日食べる食事をまかないでもらい、
部屋はとあるセミナーで知り合った大学生の友人と共同生活をし、
とにかく、必死で生き抜きました。

しばらく、連絡をとらず、父と母には心配をかけました。
さらに、しばらくして、やっと会ったときに、大学はいいのか、とか
どうやって生きて行くのかなど、聞かれましたが、
俺は俺の責任で生きて行くんだから、心配いらないと言いました。(強がり半分でしたが 笑)

でも、それから、私は、こんな自分でも、
何とか生きていけるんだという妙な自信がつきました。

当時、自給800円のアルバイトで1日15時間働いて、
月30万稼いだり、そのお金でインドのサイババに会いにいったりなど、
自力を信じて、いろいろとしました。

とりあえず、死ななければなんとかなるということがわかりました。

そんな私から、もし、息子さんや、お母様にお伝えできることがあるとすれば、
やはり、同じです。死ななければ、なんとかなる、です。

高校は、本人が行きたがっているのであれば、いかせたらいいですが、
いきたくないのであれば、無理にいかせなくてもいいのではないか、というのが
私の考えです。

しかし、同時に、その責任は100%本人がとるべきです。
学校にいかないなら、働く。
自分の生活費ぐらい、全部、自分で払わせる。

家から放り出してもいいんじゃないかとすら、正直、私は思います。
というより、私が親なら、そうします。

心配だろうとは思います。
実際、私の親も心配だったのではないかと思います。

結果として、過保護になりがちですが、しかし
過保護をやりすぎると、本人が自分の力を知る機会を奪います。

本人が出て行きたがっているなら、出て行かせるべきです。
部屋に閉じこもっているなら、追い出すべきです。
中学を終えて、勉強する気がないなら、働くべきだと私は思います。

そこで、地獄を見るかもしれません。
中卒は社会では相手にされないこともあります。
追い詰められるがゆえに
人にだまされるかもしれないし、利用されるかもしれないし、
変な人にひっかかるかもしれません。
(私もあやうくサラ金に手を出しそうになったことがあります)
最悪の場合は、死ぬ可能性だってあります。
人さまに迷惑をかけて、そのしりぬぐいをしなくてはいけなくなるときも
でてくるかもしれません。

それらの危険もひっくるめて、旅に出してあげるというのが
親の役割なのではないか、と思います。

以外となんとかなります。
高校中退で、ADHDでも、以外と普通に生きていけます。
しかし、これらはすべて、自分の責任でやるべきです。
私がそうだと言ったからと言って、
後で、言われた通りにやったけどうまくいかなかった
と言われても、私は知りません。

なぜなら、私の人生ではないからです。

私には私の人生の苦労があり
他の人には他の人の人生の苦労があると思っています。

ただ、私はこうしてきた、とは言えます。
しかし、そうしろとは言いませんし、言えません。
それが正しかったのかどうなのかは全く分からないからです。

ご参考になるかどうか、おそらくならないとは思いますが、
お答としてはこんな感じです。

岡崎